カナヘビの体温とバスキングの役割

 爬虫類は、体温について変温動物とか外温性動物に分けられます。体温が周囲の気温に左右されて変化するだけと誤解されることがありますが、昼行性の爬虫類の多くは、行動的に能動的に体温調整を行っています。つまり、日なたでバスキング(日光浴)を行うことで体温を高めています。鳥類と哺乳類は内温性の恒温動物で、体内で炭水化物のエネルギーを熱に変換することで体温を維持しています。恒温動物の体温維持のための消費エネルギーは、全消費エネルギーの90%以上にもなります。爬虫類はその分を節約できているわけですが、バスキングのために目立つ場所に出現せざるを得ないというリスクを負っています。爬虫類も鳥類も哺乳類も、完全な陸上生活者として、活発な代謝がその生活の基本を支えていますが、その方法は対照的です。

 とくに俊敏なカナヘビのような爬虫類は、日中にバスキングを行って体温を高く保つことが必須です。石原(1972)の研究によると、野外で活動中のニホンカナヘビの体温は平均30.8℃で、ほとんどが27℃から35℃の範囲でした。また、自然光が当たる飼育環境では、日照時間帯に合わせた体温上昇の日周期が見られることを報告しています。

 バスキングによって、食べたものを消化しやすくすることや代謝のリズムを維持することは、単に体温が高ければよいというものではありません。飼育ケージ内を一定の高い気温にしてしまうのは、あまりよいとは言えません。バスキングライトが点灯している時にバスキングに出てきて、体温が高くなったらライトの当たらない所に行くといったように、自分自身で体温調整できる状況がよいと言えます。


 
点灯したバスキングライトの下に集まってきたニホンカナヘビの幼体

 
バスキング中の成長したカナヘビ

参考文献

石原重厚 1972 カナヘビの体温.JIBP報告(陸上動物の個体数現存量および生産力測定法の研究):42-46.
竹中践 1993 日光浴の意義-体温保持の機構.週刊朝日百科動物たちの地球102:190-192.


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