バサルーキン氏のバッジ(サハリン)
バッジのデザインはアイベックスか何かの哺乳類であるが、サハリンの両爬学者のバサルーキン氏の手作りということで。だいぶ前のソ連の時代にM氏、S氏、T氏、N氏とともにサハリンに調査に行った時のこと。地元のパサルーキン氏の同行で、順調にサハリンの両生類と爬虫類を調査できた。海岸近くの砂丘のくぼみの池で繁殖するキタサンショウウオや砂丘の地衣類の中でバスキングするコモチカナヘビなどは、案内なしに見ることはできなかったであろう。調査行程も終わりに近づき、ユジノサハリンスクにもどって、バサルーキン氏の家で夕食をごちそうになったときに、私はいろいろな手作りの中からこのバッジをいただいた。温かい歓迎の中で家のお皿までいただいた。
調査で同行した忘れられないもう一人、通訳のワディム君。日本語を学ぶ学生で、来日したことがないのに流ちょうな日本語で的確に伝えてくれた。一度だけ、最初に調査に行くとき、「さあ、野良仕事にでかけましょう」と言って、一同ずっこけた。フィールドワークのことだが。
ところで、バサルーキン氏の著作の小冊子「サハリン州の両生類と爬虫類分布記録(プレプリント)」(原文ロシア語)もいただいた。具体的な分布確認地点をまとめた労作である。ただ、分布の集大成は出版されず、何年か後にバサルーキン氏が亡くなったとの知らせがあった。
バサルーキン氏手作りのバッジと奥さんからいただいた花柄の皿
砂丘の中のキタサンショウウオ繁殖池、夜に繁殖池に向かうキタサンショウウオ、昼にバスキングするコモチカナヘビ、昼に繁殖に出ていたエゾアカガエル
バサルーキン氏の「サハリン州の両生類と爬虫類の分布記録」(1983)の表紙とコモチカナヘビのページ
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