カナヘビ漢方薬(韓国)
以前、故S氏と韓国に調査に行った。ソウルで、Sが漢方薬店に行こうというので、地下鉄を逆方向に乗ってしまうなどしながらたどり着いた店で、なんとカナヘビの干物を見つけた。砕いて丸薬にするらしいが、そのままの形で平地に分布するシロスジカナヘビ(Takydromus wolteri)2匹を買うことができた。そっと運んだものの、1匹は頭がとれてしまったが、無事に日本に持ち帰り、水に浸けて戻してからアルコール漬けにして、何とか形態形質の記録をとることができた。
調査の目的地は北部の五色(ゴセ)で、山地に分布するアムールカナヘビ(Takydromus amurensis)が生息する。当時は軍政的な政権後間もない時期で、北部に向かうバスは何度も検問所で止められたが、休憩にもなった。五色は有名な保養地で、宿泊客でにぎわっていた。漢方の薬膳を出す店もあり、干物にしたヘビを人参と煮出して、圧搾した絞り汁を飲むという店もあった。同宿の療養中の人に勧められたが、ちょっと遠慮して私たちは人参のみのをごちそうしていただいた。
左から五色(五色薬水)の風景、いったん煮て乾燥させたヘビの束、煮汁を圧搾するところ
左:チョウセンスズガエル、右:アムールカナヘビ幼体(いずれも五色にて)
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