トカゲはんこ(中国)
かなり以前になるが、NH研究所の故T氏とM氏と中国南部に調査に行った。帰路の途中の都会のホテルの入口を入ったところで、はんこ職人が店を開いていた。その場で彫りもするが、できあいの中にトカゲのデザインのはんこがあった。当時は日本の物価からすると、かなりお手頃価格だったので、とくに目的もなく買って帰った。何年かして、このはんこのことを思い出し、これなら偽造はできないであろうと、ある科目のレポート採点に使った。トカゲはんこを幾つ集めればAといった具合で、最初は1個しか捺しようがないレポートを書いていた学生たちもぞくぞくとレベルを上げてきて、効果はたいへんよかったが、石のはんこを捺すのはけっこう指力を要して、翌週までに何百も捺すというのは長続きせず、カリキュラム改訂後に別の科目に引き継がれることはなかった。、
この調査の私自身の目的はカナヘビ類のキタカナヘビとミナミカナヘビ(ムスジカナヘビ)の生態調査で、キタカナヘビは農村の草むら、ミナミカナヘビは都市部の大学構内の草むらで見つけることができた。農村部では、同行の中国の人たちと、所々で農家に立ち寄る機会があった。当時の農村では、農作業のほとんどが手作業であった。ある農家で話しをしていたときの生活のひとこま。土間で食事を作り、でた残滓を庭に捨てるとニワトリが寄ってきてついばみ、子供が裏山に用を足しに行って戻ると、そこに豚が駆け込んでいく。まさにフードロスゼロ。
ミナミカナヘビ(ムスジカナヘビ)(左写真)は大学構内でしか見つからなかった。キタカナヘビ(中央写真)は農村(右写真)の草むらで見られた。
よく見られた農村の風景と人見知りしない子供たち。
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