ニホンアマガエルのコメント                        もどる

 学名は2016年にアマガエル科全体を分子系統分析で再検討した論文による(Duellman et al. 2016)。論文では、北アメリカ・中央アメリカ東部からロシア極東、朝鮮半島、中国東部、日本列島、琉球列島にかけて分布するアマガエルの種群は系統的にひとまとまりになるとして、ニホンアマガエル(もとはHyla japonica)等を含む分析したその地域の種をDryophytes属とした。和名としては、ここではDryophytesをアマガエル属としておく。なお、奄美諸島・沖縄諸島に分布するハロウェルアマガエルは、その論文で分析した種類に入っていないのでHyla hallowelliiのままとなっている。論文で示されているDryophytes属の分布範囲からは、ハロウェルアマガエルもDryophytesとされるべきと考えられるが、分析しなかった種の属の判断を示さなかったことやHylaとの形態的区別はできないとしていることから混乱もおきている。ハロウェルアマガエルをHyla (Dryophytes) hallowelliiといった書き方をしている論文もでてきている。
 ニホンアマガエルは各地域の島嶼でふつうに見られるが、奥尻島の高齢の方に「昔はカエルが田んぼで鳴いているといったことはなかった」といった話しを聞いたことがある。近年、沖縄の西表島で防風のための植栽とともに外来種のシロアゴガエルが入って、さいわい駆除は完了したが、草木に登る種類は移入がおきやすい。東京の浜松町駅の前の庭園に突然ニホンアマガエルが複数現れたことがある。人の持込によると思われるが、このようなことが起きえるということを頭においておくことは必要だろう。(2020.8.6)
 日本産爬虫両生類標準和名リスト2020年11月16日版(日本爬虫両棲類学会)のニホンアマガエルの学名はDryophytes japonicusに改訂。(2020.11.17)

参考文献
 Duellman, W. E., A. B. Marion, and S. B. Hedges 2016. Phylogenetics, classification, and biogeography of the treefrogs (Amphibia: Anura: Arboranae). Zootaxa 4104:1-109.


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