ニホンカナヘビのコメント                 もどる

 北海道のニホンカナヘビは生まれた翌々年の繁殖期の6月と7月に産卵する。本州以南では生まれた翌年に成熟するのが一般的。カナヘビは、繁殖に入っているあいだは、自分の成長が止まるが、北海道では生まれた翌年は成長を続けることから、親サイズが大きくなる。さらに、卵サイズが他地域よりも大きく、孵化する子のサイズが大きい。1年間における活動期間が短いことへの適応と考えられる。
 日本各地で、ニホンカナヘビは減少してきている。私が研究を始めた1970年代は、北海道、東北の水田周辺で、姿を見ることが少なくなってきていたが、関東から九州では、まだ田畑のまわりの草むらでも見られた。屋久島の水田や果樹園でも、ふつうに見ることができたが、1980年代頃から、ほとんど姿を見ることができなくなり、東北などと同様に林道しか見かけなくなった。1970年代に山形で、水田に囲まれた残存林にカナヘビがいると聞き、行ってみたが、まったくいなかった。一方、同じ年代に秋田駅の裏の草むらに数多く見られた。おそらく、東北地方の平地でも以前はふつうに生息していたのであろうが、年代が進むと山でしか見られないといった状況が進行していったのだろう。北海道でも1970年代には、低山地の林道まで入らないとあまり見られないといった状況であった。(2020.8.6)


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