ニホンマムシのコメント                   もどる

 現在、ニホンマムシはGloydius blomhoffiiであるが、かつては大陸のタンビマムシの2亜種(Gloydius brevicaudus brevicaudusG. b. siniticus)のどちらかと亜種関係とされていたことがあった。極東地域ではタンビマムシの他にウスリーマムシ(Gloydius ussuriensis)が分布し、文献によってはGloydius intermediusも登場してくるので、分布状況は複雑そうだ。中国、ロシアの文献による分布情報も複雑で、実態はわかりにくい。
 クサリヘビ科では極東地域とサハリンにクサリヘビ亜科(Viperinae)のヨーロッパクサリヘビの亜種カラフトクサリヘビ(Vipera berus sachalinensis)が分布する。極東地域に分布域が限られている複数の種がいるマムシ亜科とは対照的で、ヨーロッパクサリヘビは種としてはイギリス、フランスからサハリンまで広い分布域を持つ。繁殖はコモチカナヘビやニホンマムシと同様に胎生。長崎県対馬にはニホンマムシよりさらに分布域が狭く、対馬だけに分布するツシママムシ(Gloydius tsushimaensis)がいる。 (2020.8.6)

参考文献
 Orlov, N. L. and A. V. Barabanov 1999. Analysis of nomenclature, classification, and distribution of the Agkistrodon halys- Agkistrodon intermedius complexes: a critical review. Russian Journal of Herpetology 6:167-192.
 季达明・温世生編 2002 中国爬行動物図鑑.河南科学技術出版社.(原文中国語)

(2020.8.7)


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