カナヘビ飼育法簡略版


〇容器
管理しやすいのは水槽でしょう。通気のためにふたはしません。
幅35cm、奥行20cm、高さ25cm程度の水槽であれば、ふたがなくても逃走しません。
木の枝などを配置する場合は金網ふたをかぶせます。(写真1)

〇敷き材
赤玉土が管理しやすいでしょう。
土の微粉がいやであれば、ハイドロカルチャーの不定形で転がらない形のものも適しています。
バークチップを敷き材の上に若干置くと変化ができてよいでしょう。

避けるべき敷き材:ココナッツ繊維、粘土質の土、呑み込めるサイズの粒状や繊維状のもの

〇光、温度
暑くなりすぎない程度の日当たり、または、バスキングライトによる照明が必要です。
光(ライト)が当たる所と当たらない所ができるようにします。
バスキングライトは、35cm水槽では30ワット程度のものを使用します。ライトと個体の距離が10~20cm程度になるほうがバスキングに適しています。
タイマーで点灯時間調節します。(たとえば、夏であれば8時から2時間程度、16時から1時間程度といったように季節によって調節します。)

要注意:飼育容器内全体が35度以上にならないように。

〇容器内配置物
ビニール植物葉を入れると個体が登ったり、隠れたりするのと、水滴を垂らすのに便利です。
えさ入れ皿は、ミールワームの逃げ込みを防ぐことや固形飼料を与えるために必要です。(写真2)
隠れ場所を造ります。素焼き鉢を割ったもの、しっかりした落ち葉、厚紙で作ったものなどを置きます。

〇水
注水ビンなどでビニール植物葉などに降りかけるようにして、水滴として与えます。

要注意:1日に1、2回程度与える。1、2日空くことは可能。常に容器内が湿ってカビが生えるような状態は避けること。

〇餌
コオロギ類、ミールワームなどの生き餌は、食べられるサイズのものを、できるだけ食べ残しのないように与えます。
生き餌はコマツナなどの野菜を食べさせてから与えるとよいでしょう。
カルシウム、ミネラル類、ビタミン類の粉剤を餌にまぶしてもよいでしょう。
フトアゴヒゲトカゲ用の固形飼料を水でやわらかくして与えることは可能ですが、個体によっては食べません。

コメント:餌を与えたときは、摂食の様子を観察することが大事。与えた餌とその後の個体の状態をメモしておくとよい。

〇飼育数
初心者はひとつのケースに1個体で飼育することを推奨します。もともとカナヘビは単独生活者です。

要注意:複数を同じ容器に入れるときは、雄雄間闘争、雄の雌へのつきまとい、餌とりの個体のあいだの優劣差に十分注意すること。

〇繁殖
雌雄を同居させておくと春から初夏に交尾します。
産卵場所は赤玉土を湿らせて素焼き鉢を割った鉢片をかぶせておくと、そこに入って産卵します。
産卵したら、密閉容器に赤玉土をしめらせて敷き、その上に卵を置いて、約30~40日で孵化します。
孵化したての幼体にはショウジョウバエ、極小サイズのコオロギやミールワーム、極小サイズに切った固形飼料などを与えます。

コメント:繁殖で増えたカナヘビは責任をもって飼育すること。増えた幼体を飼育することができないのであれば繁殖させないこと。


参考:カナヘビとトカゲの違いはこちら

 写真1.水槽に金網ふたをかぶせた容器、バスキングライトは金網の下に薄板を渡して取り付けてある。

 写真2.園芸用のプラスチック鉢皿を餌入れにした例、裏返して水滴を垂らす場所にもなる。


カナヘビ類の雌雄は共通の特徴で判別できます。頭部ががっしりしているのが雄、尾の付け根が太いのが雄です。繁殖時期には雌のおなかが太く、腹部に交尾のときに雄にかまれたV字のあとが残っています。交尾痕以外は捕まえなくても分かります。ニホンカナヘビの写真の左から雌、雄、雌、雄、雄で、最後が左が雄で右が雌です。


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