シロマダラのコメント                 もどる

 2013年にLycodon(オオカミヘビ属)とDinodon(マダラヘビ属)を含む分子系統解析の論文が出た(Siler et al. 2013)。Dinodon(分析に用いられたのはアカマタとアカマダラ)はLycodonの系統内に含まれたことから、両者を1群の単系統のLycodonとするべきとして、Dinodonは属自体をシノニム(同じものにあとから付けられた名前)とされた。その論文ではそれぞれの種についてのシノニムリストの記載はないので、それ以後もシロマダラを以前のDinodon orientaleのままとしている場合がある。
 北海道では奥尻島での目撃記録と色丹島の1個体の記録のみという状態であったが(柴田1970)、近年、札幌市、石狩市、函館市、七飯町などで発見が相次いだ(徳田2010、徳田他2012)。色丹島の記録は、北海道での記録が少なかった年代にロシアの文献で移入とされたが、再検討する必要があるかもしれない。(2020.8.6)

 日本産爬虫両生類標準和名リスト2020年11月16日版(日本爬虫両棲類学会)のシロマダラの学名はLycodon orientalisに改訂。(2020.11.17)

 参考文献
 柴田保彦 1970. 隠岐より新しく記録されるシロマダラ、並びに日本におけるシロマダラの分布とその由来についての考察(爬虫類・ヘビ類).自然史研究 1:35-44.
 徳田龍弘 2010. 2009年現在北海道で確認されているシロマダラ(Dinodon orientale)の記録について.爬虫両棲類学会報2010:32-35.
 徳田龍弘 ・庄子信行・寺島淳一 2012. 北海道で確認されたシロマダラ(Dinodon orientale)続報.爬虫両棲類学会報2012:2-6.


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