カナヘビの卵生と胎生 解説              もどる

 日本には6種のカナヘビ類がいます。カナヘビ属の5種(ニホンカナヘビ、アムールカナヘビ、アオカナヘビ、ミヤコカナヘビ、サキシマカナヘビ)は殻がついた卵を産む卵生です。残りの1種はコモチカナヘビ属のコモチカナヘビで羊膜に包まれた子を産む胎生です。産み落とされた子供は、すぐに自分で羊膜を破って歩き出します。以前は、爬虫類で子を産む繁殖方法を卵胎生と呼んでいたことがあります。現在は、卵胎生の用語は、排卵後に親との接続がなく、単に親の体内に留まるだけの場合をさします。爬虫類の場合は輸卵管内の卵のまわりに血管が発達し、接続がある胎生です。コモチカナヘビは、栄養分は卵黄から供給されますが、種類によっては栄養分のほとんどを輸卵管の接続を通して親から供給されるものもいます。卵生のトカゲ類の場合も、排卵、卵殻形成後すぐに卵を産み落とすとは限りません。カナヘビ属では数日間、輸卵管に留まり、発生がやや進んでから産み落とされます。その間に親はバスキング(日光浴)をすることで発生を促進すると考えられています。カナヘビの場合は産卵後一ヶ月程度かかってから孵化しますが、トカゲの種類によっては発生のほとんどを親の体内で経過し、産卵後数日で孵化するものもいます。胎生のコモチカナヘビの場合は、輸卵管内で酸素などのガス交換や代謝産物の排出だけでなく、親がバスキングして体内の卵の温度を高めることで、寒冷地でも発生がうまく進むというメリットがあります。

コモチカナヘビは産み落とされて、すぐに羊膜を破って子が出てくる


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