和名 ミヤコカナヘビ                            日本のカナヘビ類にもどる

学名 Takydromus toyamai Takeda & Ota, 1996

英名 Miyako grass lizard

漢字 宮古金蛇

学名について 宮古諸島の爬虫類研究に尽力された当山正直氏にちなんで命名された

分布 宮古諸島

形態と分類
 体長(頭胴長)の最大は60mm程度、尾長の最大は230 mm程度。鼠径孔が1対、咽頭板が3対で、アオカナヘビと共通であることから長い間アオカナヘビと同種と思われていた。腹板(腹面の大型角形の鱗)が8列でアオカナヘビの6列と異なることや頭胴部側面の白条がないといった違いがあることなどから、Takeda and Ota (1996) によって新種記載された。日本のカナヘビ属の新種記載は1904年のサキシマカナヘビ以来の92年ぶりとなった。その後の分子系統学的な分析によって、アオカナヘビよりはむしろ台湾のスタイネガ-カナヘビや中国のキタカナヘビに系統的に近いことがわかっている。

生態
 草地と灌木林が混在するようなハビタットで生活し、草の上での行動特性もアオカナヘビと似ている。1回の産卵数がほぼ2卵で年に複数回産卵することもアオカナヘビと同様。

生息状況の現状
 以前は農耕地周辺でもふつうに見られたが、現在は農耕地周辺ではあまり見られなくなっている。アオカナヘビやニホンカナヘビと同様に小さな空き地の草地といったところでも生息可能であり、散在して生息が見られる。農作管理の影響や外来種天敵(イタチやインドクジャク)の影響により激減したことが考えられる。また、過去に文献に示された分布地点での激減などから、人による採取も影響があったと考えられる。現在は、国内希少野生動植物種に指定され、法律で捕獲が禁止されている。

参考文献

環境省編 2014. レッドデータブック2014. 日本の絶滅のおそれのある野生生物3 爬虫類・両生類.ぎょうせい.東京.153pp.

Lin, S.-M., C. A. Chen, K.-Y. Lue. 2002. Molecular phylogeny and biogeography of the grass lizards genus Takydromus (Reptilia: Lacertidae) of East Asia. Molecular Phylogenetics and Evolution 22:276-288.

Ota, H., M. Honda, S.-L. Chen et al. 2002. Phylogenetic relationships, taxonomy, character evolution and biogeography of the lacertid lizards of the genus Takydromus (Reptilia: Squamata): a molecular perspecitive. Biological J. Linnean Society 76:493-509.

Takeda, N. and H. Ota 1996. Description of a new species of Takydromus from the Ryukyu Archipelago, Japan, and a taxonomic redefinition of T. smaragdinus Boulenger 1887 (Reptilia: Lacertidae). Herpetologica 52:77-88.

参考ホームページ
ミヤコカナヘビHP 琉球島嶼生物地理学研究室


(2012.2.10)


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