日本のカナヘビ類
Japanese lacertid lizards
ニホンカナヘビ
Takydromus tachydromoides
やや詳しい解説
ニホンカナヘビの細部測定ノート
Morphometric notes on head and toes of Takydromus tachydromoides
ニホンカナヘビ形態頭部細部 Head
ニホンカナヘビ形態指細部 Toes
左:幼体(札幌) 右:雌成体(札幌)
Takydromus tachydromoides; Left:juveniles; Right: adult female; Locality: Sapporo
ニホンカナヘビやニホントカゲといった普通にどこにでもいるトカゲの仲間も近年減少が著しい地域がでている。
屋久島や種子島などの島嶼個体群はとくに注意が必要だろう。
北海道レッドリスト改訂版(2015年)で天売島、焼尻島が絶滅のおそれのある地域個体群(Lp)
東京都レッドリストで区部などが絶滅危惧U類(VU)
アオカナヘビ
Takydromus smaragdinus
やや詳しい解説
左:雄成体(徳之島) 右:雌成体(徳之島)
Takydromus smaragdinus; Left:adult male; Right: adult female; Locality: Tokunoshima Island
アオカナヘビは以前はサトウキビ畑などで点々と止まっているほど多く見られた。
沖縄島でも減っているが、特に沖永良部島、徳之島、奄美大島などで激減している。
環境省レッドリスト(2020)で徳之島と沖永良部島のアオカナヘビが絶滅のおそれのある地域個体群
IUCNレッドデータリスト(2020)でNT(Near Threatened)に判定
ミヤコカナヘビ
Takydromus toyamai
やや詳しい解説
宮古島 成体
Takydromus toyamai; Adult; Locality: Miyako Island
宮古諸島に分布する。減少が著しく、人の採集圧もその傾向を加速した可能性がある。
人為移入で拡散しつつあるイタチやクジャクといった捕食天敵の影響も大きいと考えられる。
宮古島市の自然環境保全条例保全種に指定 (1999年8月、当時は平良市)
環境省・種の保存法による国内希少野生動植物種に指定 (2016年2月)
沖縄県の天然記念物に指定 (2019年6月)
環境省レッドデータリスト(2020)で絶滅危惧TA類 (2006年から)
IUCNレッドデータリスト(2020)でEN(Endangered)に判定
レッドリストおきなわ第3版(2017)で絶滅危惧TB類(EN)
サキシマカナヘビ
Takydromus dorsalis
やや詳しい解説
左:雄成体(西表島) 右:幼体(石垣島)
Takydromus dorsalis; Left: adult male, Right: young; Locality: Iriomote Island and Ishigaki
Island
サキシマカナヘビは八重山諸島に分布するカナヘビ属最大の種。樹上性が強く西表島では樹林地に多い。
主要なハビタットである低地の樹林帯が耕作地化などの開発の影響を受けている。
石垣市自然環境保全条例に基づく石垣市希少野生動植物保全種に指定 (2015年5月)
環境省・種の保存法による国内希少野生動植物種に指定されている (2020年2月)
環境省レッドリスト(2020)で絶滅危惧U類 (2006年から)
IUCNレッドデータリスト(2020)でEN(Endangered)に判定
レッドリストおきなわ第3版(2017)で小浜島と黒島の個体群が絶滅のおそれのある地域個体群(LP)
西表島東部の耕作地(2001年)。かつては湿性灌木林とシダ原で被われサキシマカナヘビの主要な生息場所であった。
Most of the habitat, lowland bush area, of T. dorsalis has been losted by cultivation ( East part of the Iriomote Island).
アムールカナヘビ
Takydromus amurensis
やや詳しい解説
左:成体(対馬) 右:幼体(対馬)
Takydromus amurensis; Left: adult male, Right: juvenile; Locality:Tsushima Island
アムールカナヘビはロシア極東、朝鮮半島、中国東北部と日本の対馬に分布する。
カナヘビ属(Takydromus)の中では若干変わっていて、地中の穴を利用することが多く、すぐに穴に隠れる。
そのような穴がある好適なハビタットが少ないので、林道開発などの影響を受けている。
環境省レッドリスト(2020)で準絶滅危惧 (2006年から)
長崎県レッドリスト(2011, 2016)で絶滅危惧U類(VU)
コモチカナヘビ
Zootoca vivipara
やや詳しい解説
北海道北部 左:妊娠雌成体 右:日光浴する幼体
Zootoca vivipara; Left: adult gravid female; Right: juveniles; Locality: Northern Hokkaido
ヨーロッパからロシアのサハリンや北海道北部まで分布は広い。
最近の研究でウラル山脈東側はサハリン、北海道まで系統的な差が少ないことがわかってきている。
環境省レッドデータリスト(2020)で絶滅危惧U類 (2006年から)
北海道レッドリスト改訂版(2015年)で絶滅危惧U類(Vu)
北海道における生息地はほぼ湿原とその周辺に限られている。
生息地の湿原にはりめぐらされた木道に無警戒に出ることによって採集される危険がある。
Habitat of Zootoca vivipara in northern Hokkaido.
カナヘビ類以外の北海道に生息するいくつかの爬虫類と両棲類の解説はこちら